「鋏で切ってもらうと、伸び方が違う気がする」と言うお客様がいます。気のせいではありません。鋏とバリカンは、髪の切り方が根本的に異なります。その違いが、仕上がりの質感と、その後の伸び方に影響します。
切り口の形が違う ¶
バリカンは二枚の刃が高速で往復し、髪を挟んで断ち切ります。断面は平らで、顕微鏡で見ると毛先が押しつぶされたような形になります。一方、鋏は一回の動作で髪を斜めに切ります。断面が斜めになるため、毛先が細くなり、柔らかく見えます。この違いが、仕上がりの「重さ」や「軽さ」に直結します。
伸びたときの形が変わる ¶
バリカンで整えたラインは、伸びると輪郭がはっきり崩れます。刈り上げた部分と残した部分の境界が明確なため、伸びるにつれてその境界が上に移動していくように見えます。鋏でグラデーションをつけた場合、伸びても輪郭が自然に広がるだけで、崩れた印象になりにくい。一ヶ月後の見え方が違います。
どちらが良いというわけではない ¶
バリカンが悪いわけではありません。短時間で均一に仕上げるには優れた道具です。ただ、クラシックなスタイルや、伸びても形を保ちたい場合は、鋏の方が向いています。当店では基本的に鋏を使い、必要な部分にのみシェーバーを補助的に使います。
鋏の質も仕上がりに影響する ¶
鋏であれば何でも同じではありません。切れ味が落ちた鋏は、髪を切るのではなく押しつぶします。毛先が傷み、パサつきの原因になります。当店ではゾーリンゲン製の鋏を使い、年に一度か二度、大阪の研ぎ師に送って刃を整えています。道具の状態を保つことが、仕上がりの質を保つことに直結します。
鋏カットを試してみたい方は、メニューと料金をご覧ください。初めての方も、「短めに整えたい」くらいの言葉で十分です。